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コラム「経営品質のすすめ」

【第6回】「組織の学習」から戦略を作る

今回のテーマは「戦略」です。皆さんの会社では「戦略」をどのように捉えていらっしゃいますか。

 ・ 事業の予算目標(売上、シェア等)を達成するための活動方針
 ・ 競争を勝ち抜くための競争の戦略
 ・ 事業のポートフォリオからの資源配分戦略

など、「戦略」と呼ばれるものにも様々なものがあります。

 ゴールのイメージは様々ですが、いずれもゴールに到達するための方針や方策である点では共通していますね。 経営品質では、これら「戦略」と呼ばれるもの全てを含め、「組織プロフィール」で描いた将来の事業のゴール・イメージに到達するためのシナリオや具体的な作戦を「戦略」と認識しています。 大切なのは「戦略」というものは「組織が学習をするための方針書である」という点です。戦略はあくまで実現の方策としての仮説に過ぎません。実際、実行してみたら思いも寄らない事態が起こる事も珍しくありません。従って、これらの結果(良い結果、悪い結果どちらも)を真摯に受け止めて、次期の戦略(新しい仮説)作りに反映しなければなりません。「同じ失敗を二度と繰り返さない」とか、「成功した要因を把握し活用する」という意味で「学習」なのです。それも個人ではなく組織で行う学習なのです。 今回はこの「組織的学習」という側面から、「戦略」をどのように作成すればよいのだろうかという点について述べて見たいと思います。

1.「創発」による戦略の策定について

  経営品質活動では、「戦略の内容」ではなく「どのような考え方や手順を経て戦略を決定するか」という「戦略立案のプロセス」を大変重視しています。これは「良い戦略立案のプロセスからは良い戦略が作られる」という前提にもとづいています。例えば、事実の分析にばかりに偏って戦略が検討されたり、戦略が会社の上部で決定され現場に一方的に通達されたりするのでは、企業の「知恵」を終結して「良い戦略を」を作り上げるプロセスとは言えません。経営品質活動では、現場の社員の実体験や社内外の重要な情報を活用して対話(ワイワイガヤガヤ)を経て戦略ができあがることを「創発」と呼び、組織的な「知恵」を集約し学習を進めるための実践的な方法として大変重要視しています。

2.現場の着想や判断で成功したことからの学習

  現場で経験した成功体験(失敗体験)を分析し、「なぜ成功(失敗)したのか」という成功(失敗)要因を明らかにし、会社全体でこれを共有化することを「組織的な学習」と呼んでいます。かっこよく言えばナレッジマネジメントの出発点です。 「勝てば官軍」とか「売上が達成できたからOK」という「結果オーライ」的な活動では戦略なんて必要ありません。重要なことは「何故成功したのか」という成功要因を明らかにして、それを次の作戦に取り入れ組織で活用することです。決して理由のない偶然の成功のままであってはなりません。 良い戦略を作るためには、組織的な学習をベースにワイワイガヤガヤと討論を行い、「創発」的に全社の「知恵」を結集する取組みが必要となります。 もちろんリーダーである経営トップは、創発のための場つくりに向けて率先垂範することが求められます。

3.戦略課題とは

  「今、我々が何をなすべきか」という重要な課題が戦略課題です。経営品質活動で戦略課題を決定するプロセスでは、「目前の問題」から(一時的な)現状改善の課題を考えるだけではなく、「将来の事業のゴール・イメージ」に至るためになすべき本質的な課題を捉えます。このことは、弟2回「経営者の想いからゴールイメージを作る」の中で解説した通りです。こうすることにより、目先で次々と発生する問題に目を捉われることなく、軸ブレを起こさずに中長期的なスパンで、ゴールに到達するための方策を考え実践して行きます。

4.策定した戦略を全社に展開する

  策定した戦略は、会社の上部だけではなく、現場やビジネスパートナーも含めて現場の各組織の活動計画として展開されなくては全社的な実行力を持つことはできません。 従って、各部門の活動計画は「全社の戦略」と一貫性がなくてはなりませんし、各部門の行動計画同士の「同期=つながり」(整合性)も非常に重要です。縦の一貫性と横の整合性が同時に満たされなければ、組織は組織として機能する事ができません。会社全体のパフォーマンスを最大に発揮する視点から、一貫性と整合性を保ったまま、戦略を現場へ展開する際の作戦を考えねばならないのです。これはビジネスパートナーまで含めて徹底しなくてはなりません。 しかしながら、これは口で言うほど簡単なことではありません。会社としてこの一貫性と整合性をチェックする「仕組み」がなければ、戦略の実効性を保証することはできませんね。皆さんの会社ではどのような方法でチェックと確認をしていらっしゃいますか。

5. 戦略のリスクを予測し対応策を練る

  計画には必ず「リスク」が存在します。従って、戦略を実行するに当っては、発生の可能性があるリスクを予め想定しておき、対処方法を検討しておく必要があります。 どのようなリスクが想定されるのか、各々のリスクが現実化した際にどのような対応を取れば良いのかを、戦略立案のプロセスの中で検討しておかなくてはなりません。

6.戦略の達成度を評価する

  策定した戦略は、会社の上部だけではなく、現場やビジネスパートナーも含めて現場の各組織の活動計画として展開されなくては全社的な実行力を持つことはできません。 従って、各部門の活動計画は「全社の戦略」と一貫性がなくてはなりませんし、各部門の行動計画同士の「同期=つながり」(整合性)も非常に重要です。縦の一貫性と横の整合性が同時に満たされなければ、組織は組織として機能する事ができません。会社全体のパフォーマンスを最大に発揮する視点から、一貫性と整合性を保ったまま、戦略を現場へ展開する際の作戦を考えねばならないのです。これはビジネスパートナーまで含めて徹底しなくてはなりません。 しかしながら、これは口で言うほど簡単なことではありません。会社としてこの一貫性と整合性をチェックする「仕組み」がなければ、戦略の実効性を保証することはできませんね。皆さんの会社ではどのような方法でチェックと確認をしていらっしゃいますか。

7.是正と改善の進め方

  戦略はあくまで仮説ですので、検証を行い、仮説としての正しさを確認しなくてはなりません。もし、仮説に問題が見つかれば、仮説を修正し(次期の戦略に反映し)、さらに実践を通じて検証するという作業を繰り返す必要があるわけです。 従って、この評価・検証という作業を行うために、評価・検証の基準となる指標を予め明らかにすることが必要です。